筆者はジャーナリストになる前、日産自動車に勤務し、中東に車を輸出していた。1980年初頭、第2次オイルショック後の好景気に沸く中東市場で日本車は引っ張りだこだった。灼熱の砂漠でも故障しないその性能は市場で絶大なる信頼を勝ち取っていた。生まれて初めてサウジアラビアジェッダの空港に降り立ち、まるでサウナのような熱風が顔に吹き付けてきた瞬間と、高速道路が日本車で埋め尽くされている様を目の当たりにした瞬間は今でもはっきりと記憶に残っている。, その後、商売で幾度となく現地の配給会社の人間と付き合った。サウジアラビア人は経営層で、後の社員はパレスチナ人、シリア人、ヨルダン人、エジプト人、スーダン人など、周辺諸国から出稼ぎに来ている人達だった。, ある時そのうちの一人がこういった。「日本は第三世界の星なんだ。戦争に負けてこれだけの経済発展を遂げたのだから。」え?日本って「第三世界」なの?となんとなく違和感を感じたのだが、よくよく考えてみれば、同じアジア・中東地域の国としての同朋意識、ということなのだろう、と理解した。彼はさらにこう続けた。「それにしても、日本はなんで原爆まで落とされたのにアメリカと同盟なんか組んでるんだ。」と。この質問は幾度となく現地で聞かれたものだ。そのたびに説明に苦慮した記憶がある。, さて、総じてイスラーム世界では、日本に対する印象は悪くない。いや、むしろいいと思う。それは日本が、ひとえにかの地を侵略したことがないからであり、イスラーム世界の敵、イスラエルの支援をしているアメリカと勇敢にも戦った国、という位置づけから、である。そういう意味からも日本人は尊敬されていたし、今でもそうだと思っている。, しかし、イスラム国は日本人を人質にとり身代金を要求してきた。その理由として、日本がイスラム国対策として2億ドルの支援を表明したことを挙げた。とんでもないいいがかりであり、日本の支援は、避難民に、食料や医療サービスを提供するための人道的なものである。殺戮を繰り返し、中東諸国を恐怖に陥れ、政治経済に混乱を引き起こしているのがイスラム国である。非難されるべきは非道な行為を繰り返す自分たちだ。そこをはっきりさせねばならない。, そうした中、安倍首相がこのタイミングに中東を歴訪などするから、こんなことになった。中東に行くべきではなかった、などいう論調があるが、全く意味のない議論である。人質になった2人を救出するためには何が出来るか、冷静に考えるべき時に国内で不毛な非難合戦などしている場合ではない。イスラム国の狙いは、日本や西欧諸国の連携を分断することなのだ。その挑発に乗るべきではない。, 短期的には、関係中東諸国に強く働きかけ、人質を解放するための交渉を続けることが急務である。そして中長期的には、日本が中東和平のために人道支援を続けると共に、そのことを国際社会に発信していくしか道はない。繰り返すがイスラム国は名前こそ“イスラムの国家”でるが、多くのイスラーム世界にすむ人々とは全く違う、武装集団である。決していっしょくたにしてはならない。我々が憎むべきは卑劣なテロ行為と異教徒や少数民族に対する殺戮行為だ。, 仏テロ後、欧州で広がっている反イスラームの風潮は、国際社会をテロの脅威から護りはしない。中東の安定こそがテロの拡散を防ぐのだ。そのために我が国が何をなすべきなのか、改めて考える契機とせねばならない。. イスラム教過激派組織「イスラム国」が邦人2人を人質に取った事件で、邦人1人が殺害されたとの声明がインターネットに投稿された。真偽は不明だが、湯川遥菜氏が殺害されたとの情報もある。ジャーナリスト、後藤健二氏の安否については依然分かっていない。テロの脅威にわが国はどう立ち向かえばいいのか。. ●欧米キリスト教社会のイスラム批判は公平性を欠く ●国際社会の中で日本が担うべき役割とは, ドキュメンタリー映画「ドラゴンに乗って:バイデン家と中国の秘密 (原題: RIDING THE DRAGON: The Bidens’ Chinese Secrets)」【日本語字幕版】. イスラム過激派組織「イスラム国」に首を切断されて殺害された日本人ジャーナリスト・後藤健二さん。今回は後藤健二さんの生い立ちや経歴をはじめ、嫁・城後倫子さんや子供。母・石堂順子の奇行、義理の父の逮捕、兄弟などの家族情報などについてをまとめました。 イスラム国 イスラム国に共鳴した日本人テロリストが「聖戦」に走る最悪シナリオ; イスラム国 なぜイスラム系のテロ組織が多いのか? テロにまつわる4つの疑問; イスラム国 民進党が抱える「集団的病理」を象徴する岡田代表の無理筋な政府批判 後藤 健二(ごとう けんじ、1967年 9月22日 - 2015年 1月30日 )は、日本の仙台市出身のフリーランス ジャーナリスト。 。『ダイヤモンドより平和がほしい』で第53回産経児童出版文化賞受賞 。. 過激派組織「isil(いわゆるイスラム国)」の人質となっていた日本人ジャーナリストの後藤健二さんが殺害された映像が流れた。 01.02.2015 ~ 03.11.2020 Copyright © 2020 SANKEI DIGITAL INC. All rights reserved. THE FACT(ザ・ファクト)とはマスコミが報道しない「事実」を世界に伝えるYouTube番組です。, 2015年2月1日早朝、安倍首相を強く非難する「イスラム国」の声明とともに、「イスラム国」の人質となっていた後藤健二さんが殺害されたとみられる映像が、インターネット上に公開されました。これを受け2月1日午前6時40分、安倍総理は首相官邸で記者団からの質問に「痛恨の極みである」と答えました。, まず1点目ですが、ザ・ファクト「Fast Break(ファスト・ブレイク)#23」でお伝えしましたとおり、そもそも、救出措置ができない日本政府にとって、できることはほとんどなかったということです。, 今回の事件をきっかけに、今後、野党やマスコミによって安倍首相を攻撃する声が強くなると思われます。しかし、忘れてはならないのは、日本人がますます海外に進出するようになる現代においては、憲法改正まで視野に入れた「邦人救出」の法整備こそが急務だということです。, 今回の後藤さんの殺害は決して許される行為ではありません。ただ同時に、「イスラム国」をつぶせばすべてが解決する問題ではないということも事実です。, 後藤さん殺害映像がアップされた前日、幸福の科学大川隆法総裁によって「イスラム国」指導者バグダディ氏の深層意識に対するスピリチュアルインタビューが行われました。, インタビュー中、バグダディ氏の守護霊は、「イスラム国」だけが残酷だというものの見方は、欧米のキリスト教社会の側に立ったものであると発言。つまり、イラク戦争以降、アメリカを中心とした欧米のキリスト教国によって、子供や女性たちを含む多くのイスラム圏の人々が亡くなっていることなどが全然報道されない、明らかにされないところで、イスラムの側だけを非難するのは公平性を欠いていると述べています。, そしてもう1点、バグダディ氏の守護霊は、仮に「イスラム国」が崩壊しても第二、第三の「イスラム国」が出てくると発言しました。問題の根本は19世紀から20世紀にかけて欧米列強によって中東の地が勝手に切り取られた歴史があること。その根底には人種差別、民族差別、宗教の問題があることを指摘しています。, なぜならば、日本ではあまり知られていませんが、日本は中東の国々から非常にリスペクトされているからです。有色人種の国として初めて先進国になり、そして植民地を解放した国として中東の人々から尊敬されています。そういう日本であればこそ、国際社会のなかで人種差別や民族差別をなくす努力を先頭を切ってやっていくべきだと思います。そしてまた、中東の地域が必ずしも原油に頼らずとも繁栄できるように協力していくことによって、日本は大きな貢献ができるのではないでしょうか。, さらに、そもそもなぜキリスト教があり、イスラム教があるのか。そして、それぞれの宗教に融和の可能性があるのか。これらの問題も、日本がさまざまな宗教を受け入れて平和に発展してきた歴史があることを考えると、日本から宗教が融和するための思想を発信し、世界の平和に貢献していくことができると思います。, いずれにしても今回の問題で、決して日本は国際社会のなかで背を向けて一国平和主義に陥るのではなく、国際社会を本当の平和に導いていく努力をしなければならないということが分かったと思います。, 【配信開始】2015年1月31日 メブルト・チャブシュオール外務大臣は、過激派組織「ISIL(いわゆるイスラム国)」が殺害した後藤健二さんのために哀悼のメッセージを送った。チャブシュオール外務大臣がツイッターで流したメッセージ。, 「過激派組織ISIL(いわゆるイスラム国)」の野蛮なやり方で殺害された後藤健二さんのご遺族と、日本国民全員に哀悼の意を表します。すべてのテロリストを憎みます。」, 外務省も、後藤健二さんが殺害されたことに憎しみを感じると述べた。 「テロリズムは犯罪です。今日までトルコが行ったように、これからもテロリズムとの戦いは国際的協力の中で続行します。」, ソーシャルメディアで流れた映像では、イギリス訛りの英語を話す一人の組織員が日本の安倍晋三首相に向けて呼びかけていた。, メッセージでは、「イスラム国」との戦いのための援助を行うことを明らかにした日本政府に対して、勝つことのできない戦争に参加した、と語っている。, 組織員は後藤さんを処刑するだけにとどまらず、これからは日本も標的にすると述べている。, 映像が流出した後の関係閣僚会議で安倍首相は、「テロに屈せずに、中東に必要な食料、医療などの人道的支援をさらに拡大していく。」と述べた。, 後藤さんは、「イスラム国」の人質となったもうひとりの日本人、湯川遥菜(はるな)さんを救うためにシリアに入り、10月に「イスラム国」に捕らわれた。, 過激派組織「ISIL(いわゆるイスラム国)」は、日本政府が中東でテロと戦うための援助金2億ドルと同額の身代金を「イスラム国」に支払わなかったとして、後藤さんを処刑すると言っていた。, 組織が、ヨルダンに捕らわれているサジダ・リシャウィ囚人を釈放しなかったために処刑すると予告されていたヨルダンのパイロット、ムアーズ・カサースベさんの安否はまだ確認されていない。, アメリカのバラク・オバマ大統領は、「イスラム国」が後藤さんを殺害したことを非難した。, 後藤さんの遺族に哀悼の意を表したオバマ大統領は、アメリカ合衆国は「イスラム国」を弱体化させ、抹消することを目的とした行動をとり続けることを明らかにした。, 一方アメリカが先頭を切る有志連合は、「イスラム国」の基地に向かって攻撃を続けている。, アメリカ軍はイラク北部のムスルでの空爆作戦で組織の中の化学兵器技術者、アブ・マリク容疑者を殺害したと発表した。, 陸戦でいくつかの地域に侵攻している「イスラム国」は、キルクーク近辺の小規模な油田施設を占領した。, アルメニアがアゼルバイジャンの住宅地に大砲やミサイルを使って行った攻撃で、これまでに民間人93人が死亡、民間人407人が負傷した。, 新型コロナウイルス(Covid-19)感染症がもたらした危機が世界経済を深遠の瀬戸際に追いやる中でトルコの輸出をさらに増加させる能力が注目を集めている。, フランスのジャン・イブ・ル・ドリアン外務大臣が「フランスはイスラムを尊重している」と発言した。, トルコ・ラジオ・テレビ協会オフィシャルサイト 当サービスは、アナドル通信社(AA)、フランス通信社 (AFP)、AP通信(AP)、 ロイター、ドイツ通信社 (DPA)、 ATSH、EFE、MENA、イタルタス通信、 新華社の著作権資料を含んでおります。当サイトの資料及びニュースの無断利用を禁じます。TRTはこれらのコンテンツに対する責任を負いません。, /japanese/shi-jie/2015/02/01/isuramuguo-er-fan-mu-nori-ben-ren-ren-zhi-sha-hai-204707. 【番組URL】http://youtu.be/V-uw_aRVaRk, ●「イスラム国」指導者バグダディ氏守護霊へのスピリチュアルインタビュー 「イスラム国」日本人人質事件を解説 ザ・ファクトでは、ポイントを3点まとめておきたいと思います。 ポイント1:自衛隊派遣ができない以上、日本政府にできることはなかった 【再生時間】4分49秒