教師と(元)教え子の恋愛。 ナラタージュをその一言で片づけることはできません。 きっかけは、葉山先生が泉のいじめ被害に気づいて寄り添ったことでした。 「解決」ではなく「寄り添う」 葉山先生は泉の逃げ場所になることで、一時は命を断とうとすら考えた泉を救いました。 一方で、葉山先生にとってもまた泉は特別な存在でした。 「自分の判断ミスで妻を精神的に追い詰め放火まで起こさせてしまった」 泉は、そんなボロ … 何回も逢いに行きました☔️ 若い頃は良かったなぁ〜って今思ったりするけど 若い時には それなりの悩みあったなぁ…っと… 『ナラタージュ』は、島本理生による日本の恋愛小説。2017年秋、映画作品が公開された[1]。, 島本にとって初めて文芸誌などでの発表を介さない書き下ろしの作品発表(単行本発行)であった。2005年2月28日に単行本が発行されると、「この恋愛小説がすごい! 小説の主人公である泉同様、島本さんの大学在学中に執筆された本作は、 ヌーヴォーロマン(アンチロマン)作家の マルグリット・デュラス に強い影響 を受けて書かれた作品だそうで、特に『愛人/ラマン』で描かれていた “少女期の終わり” の描写にインスパイアを受けたそうです。 島本理生が20歳の時に執筆した鮮烈な書き下ろし作『ナラタージュ』を、『世界の中心で愛を叫ぶ』から『ピンクとグレー』までの感情を揺さぶるラブストーリーを発表し続ける行定勲監督が … ネタバレ 別の人と幸せになってもふとした瞬間にまた同じ場所へと引き戻されてしまう、記憶や心の奥深くまで根付いてしまった強い想いは、一種の呪いではないだろうか。 この映画は、2006年版「この恋愛小説がすごい! Amazonで島本 理生のナラタージュ (角川文庫)。アマゾンならポイント還元本が多数。島本 理生作品ほか、お急ぎ便対象商品は当日お届けも可能。またナラタージュ (角川文庫)もアマゾン配送商品なら通常 … 映画「ナラタージュ」の原作は、2018年直木賞を受賞した島本理生 (しまもと りお)が、角川書店から2005年に出版した同名の恋愛小説です。� 」で1位を獲得した島本理生さんの小説「ナラタージュ」の実写化作品です。, \見放題作品数No.1/ 泉のもとに高校の演劇部の顧問教師・葉山から、後輩の為に卒業公演に参加してくれないかと、誘いの電話がくる。, 卒業式の日の誰にも言えない葉山との思い出を胸にしまっていた泉だったが、再会により気持ちが募っていく。, 二人の想いが重なりかけたとき、泉は葉山から離婚の成立していない妻の存在を告げられる。, 葉山の告白を聞き、彼を忘れようと決意した泉は、自分を想ってくれる大学生の小野との幸せに傾きかけるが、ある事件が起きる―。, 切なかったなぁ… 2006年版」(宝島社)第1位[2]「本の雑誌が選ぶ上半期ベスト10」で第1位、2006年の本屋大賞で第6位[3]に選出されるなど注目を集めた。, 第十八回山本周五郎賞候補[4]。2016年7月時点で累計40万部のセールスを記録しており[5]、島本が個人のTwitterでファンに好きな作品をアンケートした所、ダントツの1位となるなど名実ともに島本を代表する作品として知られている[6]。, 2005年当時『ViVi』に連載されていた島本のエッセイによると、原稿用紙換算で700枚強になる長編に仕上がり読者か最後まで読んでくれるかたいそう不安だったと語っている[7]。同エッセイが『CHICAライフ』として単行本化された際の書き下ろし部分では、この作品の執筆当時は大学に通っていたが、執筆に入れ込み、時間を執筆のために費やして、その後も仕事を優先したため、大学を4年で卒業できる見込みがなくなったため大学を中退したと語っている[8]。, 島本は2006年の『WEB本の雑誌』のインタビューで本作のタイトルの由来、本作が回想劇であることについては「主人公は今を生きているけれど、同時に、過ぎた過去をいつも現在に重ねているところがある。そのときにちょうど映画用語でナラタージュ[注 1]という言葉を見つけて」とのことで、この言葉と意味が作品名と物語の描き方にほぼそのまま取り入れられたと回答している[9]。, また、2015年の『本の話WEB』のインタビューでは「(本作)1年くらいかけて書きました」[10]と答えてそれまでの自身の作品のとは異なる長い時間をかけて執筆したと話しており、また「本当に恋愛小説のつもりで書きました」と回答し、自身の作品で初めてストレートな恋愛小説を書いたとも話している[11]。, 2007年に『野性時代』で島本の特集記事が企画され刊行済み(2007年時点での単行本上梓分)の自書を解説をした際には「2人の出会い、雨の日の廊下ですれ違う、という場面を思った時、単純だけどじゃあ先生だろう、と」と思い、まず先生と生徒の恋愛物語というプロットが決まったと話している[12]。また作中の柚子の設定については「柚子ちゃんの悲しい事件は、当初から決めていました。(中略)あのエピソードだけは書き残した感があり、次回作以降の重要なテーマとなっていきます」と記し、島本の以降の作品(『大きな熊が来る前に、おやすみ。』など)で性と暴力というテーマに取りかかって行くひとつのきっかけになったとも発言している[12]。, 2010年に文芸誌『文藝』にて島本の特集記事が企画された際に収録されたインタビューでは、「(『生まれる森』が)芥川賞をとれなくて、『私ももっとちゃんと腰を据えて書かなければ』と思い取り組んだ作品(が本作)」と答えている[13]。また、原稿の枚数については特に規定はなく、前半の300枚ほど書き上げた段階で島本の方から「これまだ全然終わりません」と担当編集者に告げた所、「好きなだけ書いてください」と回答されたとのことで、最終的に原稿量換算で740枚ほど書き提出したとのこと。そして「本作を書いていったん空っぽになってしまった」とのことで、しばらくは次の作品に取り組むことができなかったという。なお余談であるが本作の執筆に集中し過ぎて腱鞘炎になったとも話している[13]。, また、山本周五郎賞の候補になったことについては内心「今回はいけるかも」と思い自信があったそうであるが(後述の#評価の項で引用した選評文なども参照されたいが)落選し、その各委員の選評文を読み「大衆小説(エンターテイメント小説)として求められるものがこれまで(純文学)とはまったく異なるということに気づいた」と語っており、以降の作品執筆に(特にエンターテイメント小説を執筆していくことに)向けて「修行をしなきゃ」と思ったとのことである[13]。, 大学2年生となった泉の元にかつて想いを寄せていた高校の恩師葉山貴司から突然電話がかかってきた。葉山の話によると、高校の演劇部の部員が減少して公演を行うことが難しくなってしまったため、3年生の引退公演を手伝ってくれそうなOB(OG)を探すため思い当たる節に連絡してみたのだという。後日、泉、黒川博文、山田志緒、黒川の友人の小野玲二が演劇部に協力することになり、週に1度高校で稽古をすることが決まり、泉は葉山との距離を詰める。, 稽古の回数が進んだある日、泉は小野から交際を申し込まれたが葉山への断ち切れない想いに気づきこれを断る。そして葉山への想いを強めて行くが、葉山が妻と別居中であること、葉山が妻と籍を入れたままにしていることを知りショックを受けオーバードースをしてしまうなど心のバランスを崩してしまう。, 演劇部の公演を終えた後、泉は小野に誘われ彼の実家に向かいあらためて交際を申し込まれ、葉山への想いと絶望の狭間で悩みながら葉山への想いを断ち切るためその話を受け入れるも、嫉妬深い小野は泉の手帳などを盗み見し、葉山とのつながりを疑うようになり、2人の関係は小野による強引な性交渉の強要により徐々に破綻してゆく。そして、演劇部の後輩の塚本柚子の自殺騒ぎによって、病院に駆けつけた泉と小野と葉山が鉢合わせしてしまい、その直後の話し合いが決定打となり泉と小野は破局する。, 小野と別れた泉は、葉山にすがるが、葉山は別居していた妻が帰って来ることを告げる。そして2人は、極限まで愛し合おうとするも、泉は心の奥底で違和感を感じ、葉山にもう会わないようにしようと提案し葉山もそれを受け入れる。, 大学を卒業した泉は会社の同僚と食事をしていた際に同席者から持ち物について尋ねられる。その同席者から葉山の真の想いを伝え聞くこととなる。, 第18回(平成16年/2004年度)山本周五郎賞の選評で以下のような評価を受けた[58][59]。以下は『小説新潮』掲載の選評からの引用である。, 行定勲が監督を勤める映画作品が2017年10月7日に公開された。主演は、松本潤と有村架純[1]。制作の背景には、監督の行定勲の念願がかない制作が決定したとのことである[62]。全国289スクリーンで公開され[63]、映画の興行収入は12億8000万円を記録[61]。, 原作出版からほどなくの頃より監督の行定勲は映画化の構想を練っていたというが[64]、原作者である島本の「映画化はすごくしてほしかったけれど、ベストな形がいいので無理に決めなくていいと思っていた」という意見と[64]、葉山貴司のイメージに合う俳優がなかなか見つからなかったことが背景にあり[65]、映画化は難航していた。しかし、ある時プロデューサーを勤める小川真司が行定に「葉山役に松本潤はどうか?」と提案したことから行定は松本を葉山役にすることを検討し、長年の懸念材料だった葉山役に収まる人物が決まり話が進んで行ったとのこと[65]。, 行定と松本潤が『ぴあ』の増刊号で対談した際には、行定は葉山と泉の「どうしようもなく断ち切れない関係」に成瀬巳喜男の『浮雲』とのつながりを感じたとも述べている[66]、なお『浮雲』は本作(映画版)の中にも登場する[67]。, 2017年の『小説 野性時代』に掲載の松本潤と島本の対談において松本は、葉山という人物を演じるにあたり「『(ヒロインである)泉の回想の物語』だと解釈していた」、「泉にとってどう見えているかが大切だと思っていました」と答え[68]、あくまでも泉の視線から葉山という人物がどう見えているかが重要である事を意識して葉山役を演じたと回答している[68]。, シルエット - リトル・バイ・リトル - 生まれる森 - 大きな熊が来る前に、おやすみ。 - あなたの呼吸が止まるまで - あられもない祈り - 七緒のために - 夏の裁断 - 夜 は お し ま い, ナラタージュ - 一千一秒の日々 - クローバー - 波打ち際の蛍 - 君が降る日 - 真綿荘の住人たち - アンダスタンド・メイビー - 週末は彼女たちのもの - よだかの片想い - Red - 匿名者のためのスピカ - イノセント - わたしたちは銀のフォークと薬を手にして - ファーストラヴ - あなたの愛人の名前は, 野間文芸新人賞 (第25回受賞) - 島清恋愛文学賞 (第21回受賞) - 直木三十五賞 (第159回受賞) - 佐藤友哉, 『ナタラージュ』文庫本 第10版 (2016年8月10日発行)表紙カバーの作者紹介, 『ぴあ Movie Special』 2017 Autumu p13 - 15 松本潤と行定勲の対談より, 「作家と90分」芥川賞候補となった『夏の裁断』を越えて、エンターテインメント小説に舵を切っていく「決意」--島本理生(1)#夏の3日間で一気に書き上げた『生まれる森』, 「作家と90分」芥川賞候補となった『夏の裁断』を越えて、エンターテインメント小説に舵を切っていく「決意」--島本理生(1)#「恋愛小説家」というイメージについて, 映画ファンが「官能的…」と高評価!大胆で美しい「ラブシーン」がある映画って? - ライブドアニュース, 松本潤 4年ぶり主演映画「ナラタージュ」公開に万感「忘れられない作品になった」 : 映画ニュース, 行定勲監督「ナラタージュ」での有村架純の土下座に賛辞「ブサイク。それが素晴らしい」, “『ナラタージュ』主題歌は上白石萌歌だった! “adieu”として音楽活動本格化へ”, https://www.cinemacafe.net/article/2019/09/06/63366.html, https://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=ナラタージュ&oldid=80216952, 第22回釜山国際映画祭 「Marie Claire Asia Star Awards」Asia Star Award. ナラタージュ映画化! 2008年に出版された 作家島本理生さんの小説 『ナラタージュ』が 2017年秋に全国ロードショーされます 主演は 嵐の『松本潤』と『有村架純』 とかなり豪華! 今回はその『ナラタージュ』のあらすじのネタバレと 結末の感想についてお話しします! 2017年に公開された、松本潤さん&有村架純さん主演の映画 『ナラタージュ』 。 この映画は、2006年版「この恋愛小説がすごい! 主題歌の切なくて綺麗な歌声のadieuって子がまさか上白石萌歌ちゃんやとは思わんかったぞ!! pic.twitter.com/C3r0B29TOl, 最後に『ナラタージュ』を見たい人へ、U-NEXTで視聴可能なおすすめ関連作品をピックアップさせていただきました。, U-NEXTの31日間の無料期間に『ナラタージュ』だけでなく、たくさんの作品を楽しんでください。, U-NEXTは、無料トライアル期間が31日間もあるので、自分に合ったサービスなのか検討できます。, https://vod.ms-curious.net/wp-content/uploads/2020/09/title1.png, 映画【ナラタージュ】の動画を無料でフル視聴する方法!美しすぎる濡れ場に鳥肌【松本潤/有村架純】. 」で1位を獲得した島本理生さんの小説「ナラタージュ」の実写化作品です。. ある日、葉山先生が体調不良で欠席して、練習がお流れになった。 泉は葉山先生の自宅を訪ねたが留守のようだ。 何かの予感がして、泉はあちこちを探し回った。 そして、ヘトヘトになった頃、ついに葉山先生を見つける。 葉山先生は義父に会っていたと言い、酔っているようだった。 「僕は3年間、あの事件のことだけを考えていた。でも、今でもどうすればいいかわからないんだ」 「ごめん、こんな話をして」 泉は葉山先生に寄り添い、自宅までついていった。 泉はついに自分を抑えきれなくなって葉山 … 有村架純ちゃん可愛い❣️ 『ナラタージュ ... あらすじ 結婚を決めた ... 作品から普遍性と緊張感を奪っている。しかしそれはあくまで個人的趣味の範疇の話だ。小説 的な質の高さを感じさせる部分がいくつかあったために、私は受賞作「明日の記憶」と同点をつけた。 書籍情報. 今でも ドキドキする#ナラタージュ #松本潤のファンで幸せ#ARASHI @arashi5official #WheneverYouCall pic.twitter.com/3cvY1dCj72, 友達とナラタージュ観に行って3年たった 胸が苦しくなったよ… もっと松本潤くんの作品が観れるといいなぁ〜 pic.twitter.com/riXpUKGVQd, — もっちゃん (@moto_dorama) September 20, 2020, 葉山先生が待ってる気がして 映画『ナラタージュ』のフル 動画は、 u-next で 見放題配信中 です。 | 月額1,990円⇒今なら31日間無料♪今すぐU-NEXTで視聴する, ※2020年10月の配信状況です。詳しい配信状況については各サイトをご確認ください。, 『ナラタージュ』は複数の動画サービスで配信中ですが、最もオススメなのは、U-NEXTです。, Pandoraやdailymotion、9tsuなどの動画共有サイトのデータをダウンロードする行為は違法です!, 2020年10月より「著作権法及びプログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律の一部を改正する法律」(令和2年法律第48号)が施行され、違法動画サイトの視聴がより厳しいものとなりました。, 主演:松本潤・ヒロイン:有村架純・行定勲監督で贈る、許されなくても、一生に一度のすべてを捧げた恋――, 大学2年生の春。 ブログを報告する, 映画『あなた、そこにいてくれますか』と原作小説『時空を超えて』(ネタバレありの感想), 映画『スターリンの葬送狂騒曲』と原作コミック『La Mort de Staline』の比較(ネタバレありの感想), 映画『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』と原作漫画『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』の比較(ネタバレありの感想), 映画『ワンダー 君は太陽』と原作小説『ワンダー Wonder』の比較(ネタバレありの感想), 映画『ビューティフル・デイ』と原作小説『You Were Never Really Here』の比較(ネタバレありの感想), 映画『君の名前で僕を呼んで』と原作小説『君の名前で僕を呼んで』の比較(ネタバレありの感想), 映画『レッド・スパロー』と原作小説「レッド・スパロー」の比較(ネタバレありの感想), 映画『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』と原作コミック『ヴァレリアンとローレリーヌ』の比較(ネタバレありの感想). 映画配給会社に勤める工藤泉は、ある雨の日学生時代のことを思い出していた。大学2年の時、泉の元に一本の連絡が入った。電話の主は高校時代の演劇部の顧問だった葉山であった。葉山は現役部員の少ない演劇部のために、学園祭での公演に協力して欲しいと泉に申し出た 。戸惑う泉であったが、申し出を受け入れ演劇部に協力することになったが、泉と葉山の間には教師と教え子の関係を超えた過去があった…, 本作は島本さんが20歳の時に執筆した恋愛小説で、「この恋愛小説がすごい!2006年版」や「本の雑誌が選ぶ上半期ベストテン」で1を獲得し、山本周五郎賞にもノミネートされた作品です。, 小説の主人公である泉同様、島本さんの大学在学中に執筆された本作は、ヌーヴォーロマン(アンチロマン)作家のマルグリット・デュラスに強い影響を受けて書かれた作品だそうで、特に『愛人/ラマン』で描かれていた“少女期の終わり”の描写にインスパイアを受けたそうです。, 本作のメガホンを取ったのは『世界の中心で、愛をさけぶ』や『パレード』などを手掛けた行定勲監督です。, 本作は行定監督が『世界の中心で、愛をさけぶ』の後から映画化を打診されていた作品で、実に12年間の構想期間を経てついに映像化が実現した作品です。, 漫画原作のピュアな恋愛映画がヒットしていく中で、シリアスな風合いの強い本作の映画化は難航していたそうですが『ピンクとグレー』で行定監督とタッグを組んだ小川真司プロデューサーの「葉山先生役を松本潤にしてみてはどうか」という提案を機に、一気にプロジェクトが進んでいったそうです。, 行定監督としては『クローズド・ノート』以来の純粋な恋愛映画という位置づけになるそうです。, 主人公の泉を演じたのは有村架純さん。行定監督が「自覚はないが実は魔性の女」と語る泉にぴったりのキャスティングで、自分の思いが実らないことを感じながらも先生のことを思い続ける強さを持った女性を好演していました。, 葉山先生を演じた松本潤さんは普段のアイドルらしい輝きを抑え、憂いさの漂う放っておけない男性を見事に体現していました。何より松本さんがこれまで演じてきたキャラクターのどれよりもエロさが際立っており、眼鏡をかけてあの弱々しい表情をされると男でもドキッとしてしまうほどでした。, ポップで爽やかな恋愛映画がトレンドになりつつある昨今の映画業界の中で、本作は大人のビターな恋愛をメインテーマにしておりとても好感が持てました。, 原作小説の要所をちゃんと抑え、物語の核となる男女の曖昧な関係もきちんと描いていました。特に男性監督が撮ったということもあって、男のどうしようもなさはかなり際立っています。, ただ、恋愛映画としてはシリアスさが強い作品なので、鈍重な展開が2時間強続くのはちょっとしんどかったです。, ストーリーの大筋は原作をしっかりと準えて映像化されていますが、映画版では原作よりも泉・葉山・小野の三人の物語にフォーカスが当てあれており、その他の登場人物のエピソードはかなり省略されています。, ドイツで暮らすことになった泉の両親の話は映画版には登場せず、高校の演劇部に所属する現役部員たちのエピソードもかなり省かれています。, また物語の終わり方も小説と映画では異なっており、 エンディングの印象は原作とはかなり真逆に近い終わり方になっていました。, 作中、物語のテーマを暗示するためにいくつかの映画作品が登場します。『エル・スール』や『ダンサー・イン・ザ・ダーク』は小説版にも映画版にも共に登場したのですが、映画版には小説になかった『浮雲』と『隣の女』という2つの作品がオリジナルで加わっています。, 成瀬巳喜男監督作の『浮雲』は、別れようとも別れられない男女の合縁奇縁を描いた作品で、ナラタージュの物語と共通する点の多い作品です。元妻と別れたとも思っていた男が実は関係を解消していなかったという展開や、その男への思いを断ち切ろうと別の男と関係を持つという展開などは、本作のストーリーともよく似通っています。, フランソワ・トリュフォー監督の『隣の女』は、かつて愛し合った男女が再開し、愛執の末に悲恋に向かっていく話です。作中ではラストシーンの「一緒では苦しすぎるが、ひとりでは生きていけない」というセリフが取り上げられており、正しく泉と葉山の関係をはっきりと表しています。, 原作では教師になることを将来の目標としていた小野ですが、映画版ではその夢が靴職人に切り替わっています。映画中盤、泉と付き合うことになった小野は、彼女に自分の作った靴をプレゼントします。小野という青年の優しさが詰まったプレゼントのようにも感じられるシーンですが、本作における靴は“独占欲”のメタファーになっています。本作においては、彼の作った靴を履くことは結婚指輪をはめること同然なのです。, だからこそ小野と別れるシーンで一度脱いだ靴を「履いて行けよ」と言われても再び履かないことで、先生の元に戻りたいという泉の確固たる意志がより強まっていました。, 前にも述べた通り、映画版と小説版では物語の終わり方が大きく異なっているのですが、個人的には映画版の終わり方の方が好きでした。, 原作では、葉山と別れた後新しいパートナーと新生活を始めた泉が、偶然にも葉山の古い友人にに出会い、昔の思い出に引き戻されるというエンディングになっています。, 対して映画版は、葉山からもらった懐中時計に「Que seja feliz(ポルトガル語で"幸せでありますように")」にというメッセージが刻まれていたことを知った泉が過去の恋愛と決別し、新たな一歩を踏み出す予感をさせる終わり方になっていました。, 映画版の方が、曖昧な関係のまま停滞した主人公が前に進み出す物語としてきちんと着地している気がしたので好みでした。, 原作では婚約者だったポジションが、映画版では会社の同僚という設定に切り替わっているのも、泉のこれからの新しい門出を予期させる良い改変だど思いました。, 本作は泉・葉山・小野の3人の物語をクローズアップした分、彼女らを取り巻く人々の物語が少々薄くなっています。特にその印象が強かったのが、高校演劇部の現役部員たちをめぐる物語でした。, 映画終盤、演劇部員の柚子が不幸な死を遂げる展開があります。原作ではこの結末に至るまでに柚子の変化を緻密に描いていたのですが、映画版では不穏な空気を匂わせる程度にとどまっており、描きこみ不足な感じがしました。, 柚子を巡る事件に関しては原作者自身が「あのエピソードは書き残した感がある」と語っているので、映画オリジナルで柚子のエピソードをもっと深く掘り下げても良かったのではないかと思います。, 本作は2時間20分と恋愛映画としては長尺の作品になっています。しかし、男女の停滞したままの関係が主題となっている作品なっているため、全編に渡って結ばれそうです結ばれないもどかしい展開がひたすら続くので、このテーマに対してのこの尺はどうしても冗長さを感じてしまいました。, なので、3人の物語ばかりをクローズアップするのではなく、泉の同級生や現役部員たちのエピソードを適度に盛り込めば、物語にアクセントが付き、冗長さも和らいだのではないかと思います。, 物語中盤、泉と付き合うことになった小野ですが、泉から愛されているという実感が得られないことに不満を募らせていきます。彼女の心の奥底にある葉山の影に悩まされ、嫉妬に苛まれた小野は、次第に泉に対しての当たりが強くなっていき、最後は彼女から別れを告げられてしまいます。, 小野は直情的で最低な振る舞いをする男ですが、極めて人間的なキャラクターとも言えます。葉山と泉の間に入り込む余地がないことを自覚しているからこそ、荒々しいやり方で泉を振り向かせようとしてしまうのです。, 映画版では省かれていますが、原作には泉と小野が“不幸から抜け出すこと”について語り合うシーンがあります。, 自分が不幸に見舞われ、その不幸から抜け出そうとすると他の誰かが傷ついてしまう時どうすれば良いかという問いに対して、小野は自分の力でその不幸を克服するべきだと持論を述べます。一方の泉は、他の誰かと共に自分も不幸を享受しなくてはならないと考える人間なので、そもそも小野とは相容れないのです。, その違いが決定的に出るのが、病院でのシーンです。柚子が治療を受ける病院から、小野と泉が去ろうとするとき、泉は葉山の悲しげな眼を目にしてしまいます。人の痛みを放っておけない泉は、先生とともに痛みを分かち合うために、小野に別れを告げ、葉山の元へと戻るのでした。, 葉山は自身の不器用さゆえに、妻を精神的に病ませてしまい、その結果多くの人を傷つけてしまったことを後悔し続けています。葉山の抱える暗い過去は、一人で抱え込むには重すぎるもので、それ故に無意識に泉にそばにいて欲しいと願ってしまうのです。, これをきっかけに、葉山と泉はそれぞれの痛みを分かち合うようになり、先生と生徒の関係を超えた共依存の関係になっていきます。, 葉山が泉を助けたのは、自分がかつて愛する人を救えなかったことに対する懺悔の念と、自身の抱える痛みと泉の抱える痛みが共鳴したったからかもしれません。, 妻と再び共に暮らす決意をした葉山は泉にその旨を伝え、本当の別れになることを告げます。そして2人は、お互いのことを思い出へと昇華させるために、最後に体を交わします。, 葉山への思いを断ち、彼の部屋を発った泉でしたが、電車の車窓から見えた葉山の姿に、抑えてきた感情が溢れ出してしまうのでした。, そして、月日が経ち社会人になった泉はふと、過去の恋愛を思い出します。心の奥底では葉山への気持ちを断ち切れていなかった泉でしたが、彼からもらった懐中時計に「幸せでありますように」というメッセージが刻まれていたことを知ります。, その言葉は、今まで互いに依存し続けた2人の関係に対しての決別の言葉でありながら、相手のことをいたわる葉山らしいエールでもありました。, 葉山を思い続け立ち止まったままでいた泉がようやく前進む勇気を持った時、懐中時計の止まったままの時間も進み始めるのでした。, nyaromixさんは、はてなブログを使っています。あなたもはてなブログをはじめてみませんか?, Powered by Hatena Blog